2017年5月18日
現代文明と精神座談会(50) 出席者:尾崎一雄/荻野彰久/斎藤玉男/島崎敏樹/丸山薫
尾崎 だから、ドイツ人だけがいけないんだという考え方が根本にあるから間違っているんです。日本の八紘一宇だってそうだけれども、そういうものがいまあるから困っているんです。お医者さんのエゴイズムは違うんでしょう。
島崎 女の人は科学が得意じゃなくていまの生活で満足ですね。自然と共にある。どんな飲んだくれの亭主持っても、諦めて尽してやろうということなんです。進歩はないが平和でいいんです。進歩というのは破壊性とくっついてゆく。どうしても科学は権力者と手を握っちゃうと思う。歴史が証明している通りでしてね。だから平和、平和と言いますけど平和のための闘いなんて(笑)ことね。やっぱり闘うことが好きなんです。平和なんていられないんですね、ドロンとしちゃって。
荻野 人類の宿命ですね。
尾崎 闘争心はありますけれども、全人類破滅なんてじゃなしに、別の面で競争するように……。
島崎 今の映画なんか、皆そうですねいろんな事があって、なにもかも滅んで終りになる。そうでないと受けない。
尾崎 ぼくらもだいたいそういうあれなんです。ですけど、破局のお手伝いはしたくないと思うんです。なるべく先に延ばしたいと思うんです。
荻野 そういう世界が来るでしょうか