2017年5月29日
脊椎動物の進化(1) 徳力幹彦
「脊椎動物の中枢神経系の発達は、より速く移動するという、歩行運動の進化と連結していた」ということを、以下に説明してみます。
地球が誕生して、46億年、生物が誕生して38億年が経過したと言われていますが、脊椎動物の祖先の脊索動物(脊椎が骨化していない動物)が生まれたのはカンブリア紀初期、最初の脊椎動物(魚類です)が生まれたのは、カンブリア紀後期と言われています。
古生代:5.4〜2.5億年前
カンブリア紀:5.4〜4.9億年前(魚類の無顎類の出現)
オルドヴィス紀:4.9〜4.4億年前
シルル紀:4.4〜4.2億年前(魚類の有顎類の出現)
デヴォン紀:4.2〜3.6億年前(魚類の全盛時代、両生類が出現)
石炭紀:3.6〜3.0億年前(爬虫類が出現)
ペルム紀:3.0〜2.5億年前(大量絶滅により地球上の生物の90〜95%が死滅)
カンブリア紀後期に出現した脊椎動物の特徴は、下顎骨が無いということでした。鰓は複数あり、それぞれの鰓を鰓弓(鰓を支持する骨です)が支えていました。そこで、理由はよくわかりませんが、前方に位置していた鰓弓が上顎の下に移動してきて下顎骨になったと想定されています。この下顎骨の出現は、その後の神経系の発達と密接に関係しており、無顎類との相違があまりに大きいために、脊椎動物を大別するときには、無顎類(円口類:現存しているのはヤツメウナギとヌタウナギのみです)と有顎類(顎口類)に分類しています。