2017年5月30日
脊椎動物の進化(2) 徳力幹彦
最初の顎口類はシルル紀に出現しています。植物は無機物から有機物を作って生きていきますが、動物は他の生物を食べて生きています。そこで、下顎が生まれると、噛みつくことが可能になったため、進化が急速になりました(すなわち、生存競争が激しくなったのです)。従って、デヴォン紀には魚類は全盛時代を迎えます。このとき、魚類は大別すると2種類いました。現在の魚のようなヒレを持っていた条鰭類(現在、海や淡水領域を支配している魚の先祖です)と筋肉の付着した骨が体幹から伸びて、その先にヒレを持っていた肉鰭類(現存するのは肺魚とシーラカンスだけです)でした。これらの魚類の中には、海水内での激しい生存競争の結果、淡水に追いやられたグループがいました(生存競争の負け組です)。淡水では、水量が季節によって異なり、鰓呼吸だけでは酸素吸入が困難になる場合が出てきます。そこで、これらのグループから上位消化管の細胞を変形させて肺を作った魚類が出てきました。