2017年6月1日
脊椎動物の進化(4) 徳力幹彦
デヴォン期の後半から石炭紀にかけては、季節による淡水の増減が激しくなったようで、淡水から湿地帯へ、さらに陸上に追い出された負け組がいました。このとき、湿地帯・陸上を移動するには、ヒレを持っていた条鰭類よりも、筋肉の付いた腕の先にヒレを持っていた肉鰭類の方が、移動するのは容易であったと想像できます。すでにこのときには、いずれの魚類とも肺を持っていましたから、酸素を吸入することは可能でした。そこで、肉鰭類の中で、さらに陸地へと追いやられた肉鰭類から、地上生活を可能にした両生類がデヴォン紀後期に生まれました。このとき、肉鰭類は、対になっている胸ビレと腹ビレを、それぞれ、前肢と後肢として、四足歩行が可能になりました。現存の両生類の四足歩行は、常歩(1完歩において、四肢のいずれかの肢が常に接地しており、左右の前肢と後肢の位相が、それぞれ、半完歩ずれて対称的に移動する歩法です)しかできませんから、最初の両生類も常歩しかできなかったと考えられています。カエルは比較的新しい両生類で、ジャンプを可能にしました。しかし、四足歩行で可能なのは常歩だけです。