2017年6月2日
脊椎動物の進化(5) 徳力幹彦
魚類の感覚に関しては、嗅覚だけが未発達の終脳に届いており、脳幹の中脳が視覚などの中枢になっていると考えられてきましたが、視覚、味覚、聴覚、側線感覚なども幾つかのシナプスを通過しながら終脳に走っているということがわかってきています。ただし、魚類の終脳と小脳は脳幹に比べると未分化であり、両生類に比べると相対的に小さいということは言えます。すなわち、水中を泳ぐのに比べて、陸上の歩行では、より複雑な神経構造・機能を必要とした結果、終脳と小脳が発達したのです。両生類から大型の両生類が生まれ、淡水や海水に戻り、魚類を支配するものも出てきました。負け組が次の世代の勝ち組となるのです。ただし、両生類は、産卵するとき、水に戻らなければなりませんでした。