2017年6月5日
脊椎動物の進化(6) 徳力幹彦
脊椎動物で初めて常歩が可能になった両生類の中から、さらに陸地深く追いやられ、水中に戻ることができなくなった両生類がいました。この負け組の中から、羊膜を作り上げたグループが現れました。これが、石炭紀に出現した爬虫類です。羊膜があると、この外側を固い殻で包むことが可能になり、産卵時に水中に戻る必要がなくなりました。完全な陸生脊椎動物の出現です。
そして、常歩よりもより速い歩法、速歩(1完歩において、四肢が体重を付加しない位相を持つ歩法で、左右の前肢と後肢の位相が、それぞれ、半完歩ずれて対称的に移動する歩法です)が可能になったのです。石炭紀からペルム紀にかけて、爬虫類は、両生類に比べて歩行速度は早くなり、巨大化して、陸上では両生類、水中では両生類・魚類の上に君臨しました。
速歩は、常歩よりもさらに複雑な歩法ですから、爬虫類の大脳と小脳は、両生類のそれらに比べて、一段と発達しました。