2017年6月8日
脊椎動物の進化(9) 徳力幹彦
三畳紀後期には、爬虫類の生存競争では負け組の単弓類から哺乳類が出現しました。恐竜などの大きい爬虫類が生存しており、昼間はこれらが支配していること、および酸素濃度が低いという環境を考慮して、最初の哺乳類は、小型化し、夜行性となりました。小型化したために、放熱量が相対的に増えました。身長をLとすると、体表面積はL2に比例し、体積はL3に比例します。Lが小さくなると、すなわち小型化すると、体積に比べて、体表面積が大きくなり、放熱現象が上昇します。夜行性となれば、気温が低くなりますから、この現象が加速されます。これらを防ぐために、哺乳類は、先祖の爬虫類の変温動物から恒温動物に変化したと、考えられます。恒温動物として生きていくためには、効率的に酸素を補給する必要があり、頸筋の仲間であった筋肉が、胸部と腹部の間に移行して横隔膜を作ったのです(このために、横隔神経は頸髄のC3〜C5から出てくるのです)。