2017年6月9日
脊椎動物の進化(10) 徳力幹彦
そして、哺乳類は、速歩よりもより速く走る歩法、襲步(ギャロップ)を可能にしたのです。襲步は、左右肢が対象に移動するのではなく、1完歩が1単位の複雑は歩法です。これが、哺乳類の大脳と小脳が、爬虫類のそれらに比べて、一段と大きくなった理由と私は考えています。
余談ですが、哺乳類は、夜行性になったために、魚類、両生類、爬虫類が持っていた4種類の錐体細胞(色を識別する視細胞)を2種類に減らしてしまいました。哺乳類の霊長目は樹上に住むようになったので、果物などの識別が必要となり、3種類の錐体細胞を持つようになりました。このおかげで、現在、我々人間はカラーテレビなどを楽しめるようになっているのです。
以上、脊椎動物の進化は、常に負け組から、次の世代の勝ち組が出てきます。負け組は新しい環境に追いやられるためにほとんどの動物は死んでいくのだと思いますが、一定の割合で起こっている突然変異により、新しい環境に適応する機能が生まれてきた場合、その機能の改善を持続した動物が、新しい環境で成功し、そして、以前の環境にも優位に住めるようになるようです。