2017年6月23日
高村光太郎先生の葉書(4) 大木 実
三枚目のお葉書は本郷区西須賀町一七根津山荘宛にくださったもの。
「先日は結構なお菓子をいただき、昔本郷の青木堂のうらへ買ひにいつた事をおもひだします。今日切抜ありがたくお受けとりしました。まったく忘れてゐたものでした。とりあえず。草々」
消印の日附はうすくて読みとれないが、文面から推して昭和十八年である。日附は先生の字で四月五日夕とはいっている。なぜ昭和十八年とわかるかと云えばこの年、私は第三詩集「故郷」を上梓し、この詩集に先生の序文をいただいたお礼にあがり、その後でいただいたお葉書だからである。