2017年7月21日
途 上(トジャウ)(3) 小堀杏奴
かう言ふ状態で仕事をすると言ふ事は実は不可能だが、不可能と言つてゐては食べられないから必然的に可能たらしめやうと努力し現に普段より今月は沢山仕事をしてゐる程だ。締切日がニケ所重なつて夜明けの二時迄仕事をし、一寝入りして又洗濯を午後にのばし、家事の合間に別の一ケ所の仕事をして昼迄には編集者の方にお渡しすると言つた方法も取る。家事のやりかたの一つのコツを話すと、例へば赤児がミルクだけ、又は離乳食のじやがいものマツシユとか、茶椀むしと言つたものを食べるのは、午前六時、十時、正午、午後二時、六時、十時の六回で、その間消毒は午前十時の後と、午後六時の後と二回だが、一回牛乳瓶を使へば直ぐさま瓶を綺麗に洗ひ、乳首も小さいブラシを使つてよく洗つて置くと言ふやうに心を配る。