共立荻野病院コラム詳細
TOP > 共立荻野病院コラム一覧 > 歴史の底に光るもの(5終) 亀井勝一郎
  • 診療科目一覧
  • 内科
  • 胃腸科
  • リウマチ・膠原病科
  • アレルギー科
  • リハビリテーション科
診療時間
  • 外来診療時間

    休診日
    月〜金 午前9:00〜午後12:00
    午後3:00〜午後6:00
    土・日・祝日・年末年始・夏季
    (3日間)
  • デイケア利用時間

    定休日
    月〜土 午前9:00〜午後4:00
    日曜・年末年始
  • 院内のご案内
  • 医師紹介
  • 共立荻野病院デイケアセンターフラミンゴ
  • 住宅型有料老人ホーム プメハナ

2017年8月9日

歴史の底に光るもの(5終) 亀井勝一郎

 詩や歌の最も美しい在り方、それは作者の名など忘れられてしまつて、詩や歌そのものだけが民衆によつて歌はれてゆく状態である。読びと知らずの歌である。あるひは読びとがわかつてゐても、歌ふ人はそれを知らない場合もある。
 私たちが健康に呼吸してゐるときは、自分が呼吸してゐるといふ自覚をもたない。それがいのちである。歌や詩も、あたかも自分の呼吸のやうに歌はれたとき、それは民族のいのちとなるであらう。
 大和の古寺を建てた技術者たちは、千二百年の後、まさか自分の造型が国宝になるなどと夢にも考へてゐなかつたであらう。眼前の造寺に奉仕しただけである。読びと知らずの歌の作者たちも同様である。ただ無心に歌つたのだ。署名など少しも思はなかつた時代の自然のすがたを、私はやはり歴史の中に見て感動する。



共立荻野病院コラム一覧へ戻る