2017年8月17日
エヴェレスト(3) 中河与一
一八九五年には名登山家マンメリーが二人のイギリス人と共にナンガパルバットで最初の犠牲となつたが、「山があるから登るんだ」と云つた有名な登山家マロリーや、その同行者のアーヴィンが、一九二四年のエヴェレスト登頂に於て消息を絶つた。
エヴェレストと云へば世界最高の山で、南極や北極と共に最も天に近い高度の極である。
その頂上を最初に極めたのが、ハント大佐の率いるイギリス登山隊のヒラリーとテンシンの二人で、それは一九五三年.五月二十九日、午前十一時三十分のことであつた。
私はこの世界的英雄と握手しながら、昨夏訪問した印度の印象を話し、彼の遠来に対して心からの感謝を述べた。