2017年10月4日
ポルト観光(3)プロローグ 影山喜一
ローマ教皇よりポルトガル教会がアジア布教の使命を与えられ、貿易の拠点であるマカオを基地として宣教師たちが来日する。彼らの国籍は多種多様であったろうが、当然ながらポルトガル人が多数を占めた。船を操る交易関係の人員も含めて受け入れる側が、異人=ポルトガル人とみなしたとしても不思議ではない。したがって、外の持ち込む側と内の受け入れる側は、ポルトガル対日本とする方がわかりやすい。それよりも何よりも派遣元がポルトガル教会に他ならない。
いずれにせよ、16世紀末のわが先祖たちにヨーロッパ世界を知らしめた国は、もっぱらポルトガルであった。人種としてはイタリア人やスペイン人がいたかもしれないが、彼らもあくまでポルトガルという国の下で行動したに違いない。ましてや相対する日本人の側からすれば、詳しい国籍など当然ながら関心の外にある。時代はずっと下るわけだが私も、小説の読者ないし映画の観客として主人公はポルトガル人と信じる。