2017年10月6日
カイロ雑記(3) 北川冬彦
これらは人類文化の最古のモニュマンで、建造されてから数千年経つことを考えれば、大へんなものにちがいないが、一日まえに、アテネで高い丘の上に白くかがやくアクロポリスの神殿跡を見てきたばかりであるだけに貧相に感じたのであろう。かって、あのエジプトの高度な文明をつちかったナイル川もコンクリートの岸壁をもつ変哲もない川だった。
エジプト古代博物館は面白かった。ツーターカーメン王の墓(B・C 1354)は、そっくりそのまま遺っているのが発掘され、墓のなかの数々の遺物が陳列されてあった。瀬戸口氏が案内につけてくれた日本の女留学生がいうには、「この墓は他の王の墓より小さいので、墓荒しの目こぼしになったのです」と。この王のミイラの納められてある棺は、900ポンド余りの純金でつくられてあるそうで、ピカピカと文字どおり黄金色にかがやき、人目を惹いていた。