2017年10月10日
ポルト観光(6)プロローグ 影山喜一
誤解を恐れずに付言すると都市化は実際、すべての住民を都市に統合するわけでなく、非都市部分の必須機能や自立能力を奪う。昨今の都市、とりわけ東京に代表される大都市は、“自由にする空気”に満ちるどころか、“すべてを腐らせる底なし沼”である。人間らしくありたいと思えば、都市を脱出しなければならない。その意味で私は、都市化率が比較的低いポルトガルを好む。
因みに、ポルトガルで人口が10万人を超える都市は8つ存在する。最大は首都リスボンの56万4,600人強、次いでポルトが26万3,100人となる。観光地として名の通ったブラガが10万9,400人、コインブラは10万1000人である。それにひきかえ私の郷土である浜松市は、大合併の結果として80万7,600人と間口を広げる。まったく目を覆いたい惨状というしかない。
ともあれ、これから訪れるポルトは、ポルトガルにおいて首都リスボンに次ぐ規模を誇る都市である。ましてグローバリゼーションの行き渡る現在、“自然帰り”に憧れる私の希望を叶えてくれると期待しうるはずがない。それでも浜松のように合併を繰り返したりしないことで、ある種の古き良き都市の要素を残しているのではないか。そう願ってというか祈ってポルトを目指そうと思う。