2017年10月12日
ポルト観光(8)第1章 聖地に別れを告げて §1 遠ざかる旧市街 影山喜一
サンティアゴ・デ・コンポステーラ旧市街
すり鉢の底に沈む中央の手術台を四方から覗けるように階段状の座席が囲む。周囲の壁には、歴代の教授たちの顔入りの額が掛かっていた。コインブラは、テレビで少しだけ紹介されたのを観た記憶がある。現在もなお、黒いマントを着た学生が闊歩する映像は、なんとも時代錯誤的で直接見たいスポットの一つであった。しかし、残念ながら今回は、涙を飲んで諦めざるをえない。
チェックアウトを済ませてホテル・サンフランシスコ モヌメントの外に出る。かつての修道院の一部は、コンクリートとガラスのオブジェに変身した。間もなく7月というのに早朝の空気はピリピリ冷たい。通りの左側に並ぶ土産物屋は、まだ閉まったままである。旧王立病院だった5つ星のパラドールの前も、観光バスはおろかタクシーも止まっていない。聖ヤコブの像に軽く会釈してキンターナ広場を横切る。