2017年10月31日
ポルト観光(20)第1章 聖地に別れを告げて §2 アルサ(国際高速バス)に乗る 影山喜一
ALSAのポルト行バス
初めは素早く切り替わる風景を楽しむ余裕がそこそこあったけれど、生理的欲求の逼迫によって和やかな観光気分はすっかり吹き飛んだ。しかし、ビーゴ経由の列車と比べてバスならば、ポルト滞在の日数が1日増えると半ば諦めつつ納得する。交通機関絡みでひどい目に合った経験談を多々耳にするので、ほとんど遅れずに無事辿り着けただけで喜ぶべきかもしれない。
乗車の際に軽く言葉を交わした日本の中年男性巡礼者が、ここからサンティアゴ・デ・コンポステータを逆に目指すらしい。たしかに巡礼路のうち「ポルトガルの道」というルートがあるものの、普通は空路でリスボンに入り態勢を整えてスタートするのではないか。費やす距離の全長は、「フランス人の道」より短い614.6kmである。
それでも私たちが終えたばかりの行程レオン‐サンティアゴ・デ・コンポステーラを300km超える。もっとも、ポルトガルの道の距離も、ポルトを出発点とすると240kmに減る。100km以上の完歩者に与えられる巡礼証明書は当然、もらえる。ともあれ、ゴール地点からポルトに戻って、再度ゴールに向かう理由がわからない。