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2017年11月9日

ある絵とその作者(3) 斎藤玉男

 精神病院入院中によい作品を産んだ例は従来の巨匠にもいくつかある(フヮン・ホッホ、ロートレックなど)。それと精神異常との関連は決して閑却し去るべきではない。たとえば、病症に由るタッチの遅疑や軽快化がその人のもつ特色を強調する結果になったとか、色彩の原色化傾向が作品の素朴性を浮き彫りにする効果をもたらしたとか――但し病症の影響で作風が根本から変えられたとか、デッサンの構成が全然別になったと言うようなことは大方見られない。ただこの人の場合は画風が精神病院内でしかも晩年に近く発芽し生長したと言える点がかなり特異である。言って見れば自成的自然発生的である。
 この発芽に生活環境がどの程度干渉したであろうか。この人のように生来の性格の歪みも手伝って、いく度も活計上の適応に失欺し失敗した挙句、フト画刷毛を握ったトタンに「俺にも画こころがないではないな」との発見に逢着し、次第に「物を画く能力」に自信を得来ったと言うのが卒直な発達経路ではあるまいか。その点左官の下職、大工の手間取りから出発し、いつとなく馨にも画筆にも親しみながら、生涯自分ではアルチザン意識に安住したダ・ヴィンチに比較出来るとすれば、この人の今後にひどいエリートとしての思い上がりが育たずに済むのでもあろうかと思われる節はある。



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