2017年11月15日
教会と私の音楽(3) 大中恩
いずれを選ぶべきか迷った中学生の頃、私は教会の聖歌隊で夢中になって歌っていた。多勢の人が集って創り出す美しいハーモニー。此のコーラスの魅力こそ、私が音楽の道に進んだことの根底になっているのだが、その聖歌隊の中に、いうならば誠によく面倒をみてくれた女性がいた。たしかに私はよく面倒をみてもらったと思っている。少しばかり人を信じやすいほうだったのかもしれないが、彼女のことばを信頼し、そのはげましに力を与えられ感動した。此処において私は、「神の声」を振り切って「彼女の声」に従うという不遜を敢てしたのだが、あの頃にしては大変適切な不遜ではなかったかと思うより仕方がないようだ。