2017年11月16日
ポルト観光(31)第2章 なぜポルトを訪ねるのか §2 ポルトの魅力と日葡関係 影山喜一
大正生まれの私の母は、酒飲みの父が反面教師になったのであろうか、酒と聞くだけで御免被るといった様子であった。しかし、ひどく寒い冬には身体が温まるといって赤玉ポートワインを寝酒として飲んでいた。彼女は、それがポルトガルを発祥地とする酒と知らなかったはずである。ましてやポルトという地名は縁遠かった。もっとも、日本人と初めて出会ったヨーロッパ人がポルトガルから来たという事実は、戦前の義務教育でも教えられていたので、ポルトガルは日本人にとって身近な存在であった。日常生活においても両国の繋がりを物語るものが数多く存在する。現在も日本で普通使われるパン・コップ・タバコ・ボタン・シャボンなどの物品名は、ポルトガル語を起源とする。料理や食品のテンプラ・カステラ・コンペイトウも、同様である。