2017年12月19日
肺気腫、息切れ症候群、逆流性食道炎……合併症で死に至る「ぜんそく」の恐怖-02 佐野靖之 「隠れぜんそく」-01章 発売元 株式会社 幻冬舎より
成人ぜんそくのほうが慢性化・重症化しやすい
大人がかかるぜんそく=成人ぜんそくのほうが、重篤化する危険性は高くなります。それには、成長期にある子どもと成長の止まった大人との違い、そして、社会的立場の違い
が関係しています。
小児ぜんそくは、3歳までに全体の60~70%、6歳までに全体の約80%が発症しますが、比較的軽症であることが多く、年齢とともに改善していく傾向にあります。中には小児ぜんそくを患っている人がそのままその病状を持ち越し、成人ぜんそくへと移行するケースも見られますが、12~13歳頃をピークに、成人までに約6割が自然に、あるいは適切な治療によって寛解していきます。
小児ぜんそくの場合、体の成長に合わせて肺も大きく成長することで、肺機能は自然とアップします。また、親の管理下にあって、発作が起きたとしても十分に安静に保つことができることもよい方向に働き、症状がグンと軽くなり、無症状になるケースが多くなります。とはいえ、約4割は小児ぜんそくから思春期ぜんそく(13~18歳)を経て、成人ぜんそくへと持ち越されてしまいます。これは、思春期になり、親の目を離れて自分で薬などを管理するようになることで治療がおろそかになってしまうことが理由の一つになっていると考えられます。要は、治療をさぼっていたために重症化を食い止めることができなかったというわけです。