2017年12月19日
ポルト観光(52)第3章 滞在初日 §2 マジェスティック・カフェ 影山喜一
マジェスティック・カフェ
白いシャツに黒いチョッキを着たウェイターが注文を取りに来た。英語のメニューを渡してくれたが、やはり内容はさっぱり理解できない。そもそも日本語で書いてあっても同じであろう。専門家か料理通でない限りメニューを一瞥して頼むなど不可能に違いない。それを参考としながらウェイターとやりとりする過程で具体的な注文が絞られてくる。その過程にこそ一流レストランにおける食事の醍醐味が存在する。したがって、客の側に不可欠な能力は、ただ語彙レベルでメニューを読めるだけでなく、ウェイターとうまく会話することが重要である。単純な意思疎通よりも料理のセンスが決定的な役割を果たす。考えれば考えるほど気が滅入ってくる。結局、本日のお薦めと肉料理の一つを指さして、喉の渇き対策としてビールを2杯注文した。