2017年12月27日
肺気腫、息切れ症候群、逆流性食道炎……合併症で死に至る「ぜんそく」の恐怖-08 佐野靖之 「隠れぜんそく」-01章 発売元 株式会社 幻冬舎より
最悪の場合は死に至ることもある
実は、このようなケースはとりたてて珍しいことではありません。
ぜんそくで命を落とすのは、重篤な発作を起こして窒息することがほとんどです。慢性的な炎症によってもともと狭まっていた気道が、発作によってギュウッと締め付けられます。このとき、急激な気道狭窄や痰の詰まりによって窒息状態に陥ります。そうして、突然の死は訪れます。ぜんそく死の約3割は、発作が起こってから1~3時間という短い時間の間に起こっています。救急車を呼ぼうとでもしたのか、電話機を握りしめたまま亡くなっている。発作が起きたので慌ててタクシーで救急病院に駆けつけたものの、病院の玄関の前であえなく事切れる……。家の中で亡くなっているのを発見されるケースや、病院に向かう途中で亡くなる方が多いのも、ぜんそく死の特徴でしょう。
年代別では、子ども、すなわち小児ぜんそくの患者で亡くなる人はごくわずかです。ほとんどが成人、中でも危ないのは65歳以上の高齢者です。
しかし、「体力が落ちている高齢者だから」「かなりの重症者だったから」という理由が、そのまま直接ぜんそく死につながっているわけではありません。最近では青年や壮年などの若い層、または軽症や中程度の患者が急激な発作を起こし、死亡するという例も増えています。