2018年1月11日
肺気腫、息切れ症候群、逆流性食道炎……合併症で死に至る「ぜんそく」の恐怖-14 佐野靖之 「隠れぜんそく」-01章 発売元 株式会社 幻冬舎より
ぜんそくの合併症――とくに注意をしたいのが「息切れ症候群」
ぜんそくをきちんと治療しないままでいると、症状がどんどん重症化していくだけでなく、合併症にかかるリスクも高まってしまいます。
いくつかある合併症の中でも、とくに用心したいのが「息切れ症候群」です。
息切れ症候群はまだあまり知られていませんが、ぜんそくの発症時や経過時、気道の状態が安定していないときに体に無理をかけることで陥りやすくなる症状です。仕事や家事、育児に頑張り、無理を押してまで忙しくしていると、症状が悪化してよくならなくなるほ
か、次のような症状が表れてきます。
・疲れやすい、だるい
・動悸を感じる
・少し動くとハアハアと息苦しくなる
・胸が痛い
・背中が張って痛い
・頭がポーッとする
・思考力が低下する
このような症状が見られたら、ぜんそくが悪化して、息切れ症候群になっていると考えられます。これらは酸欠状態の症状と一致しています。このとき、患者の末梢肘静脈の酸素分圧を調べると、正常では20以下ぐらいの値が50~70と高くなっており、体の動脈中の酸素が(体の)すみずみの細胞でうまく使われてないまま静脈に環流していて、いわゆる体組織の細胞が酸欠状態になっていることがわかります。