2018年1月16日
肺気腫、息切れ症候群、逆流性食道炎……合併症で死に至る「ぜんそく」の恐怖-17 佐野靖之 「隠れぜんそく」-01章 発売元 株式会社 幻冬舎より
これら以外にも、「アトピー性皮膚炎」を併発している患者もよく見られるほか、「寒暖差アレルギー」や「化学物質過敏症」などにかかっているケースも見受けられます。
アレルギー性の病気との併発で印象的なのは、こちらが出ればあちらが引っ込むとでもいうような、「どちらかの症状が重いときには、もう一方の症状が抑えられているか、まったく出なくなる」ケースが多々あるということです。これは、一方のアレルギー反応が抑えられている分、その反応が他のところに移動しているのではないかと考えられ、交代現象とも言われますが、科学的な面では証明されていません。しかし、こんな例もあります。
私のクリニックでぜんそくの治療を続けていた患者の中に、アトピー性皮膚炎を併発している女性がいました。ぜんそくの発作で苦しんでいたときは皮膚はきれいな状態だったのに、ぜんそくの発作が治まったらアトピーの症状がとたんにひどくなり、全身がかゆくてたまらなくなってきたと訴えます。彼女は、アトピー性皮膚炎の治療は皮膚科の専門医にかかっていましたが、薬をどれだけ飲んでも、かゆみ止めをどんなに使っても、症状がいっこうによくならないとのことでした。相談を受け、こちらでできるアトピー性皮膚炎のための治療を施したりもしましたが、風邪を誘因として悪化したため、交代現象でかゆみはすっかり治まり最終的にはぜんそくの治療を減らし、ゆっくりよくしていくことにしました。それにより、時間をかけてではありましたが、ぜんそくとアトピー性皮膚炎の両方の改善を果たすことができたのです。
シニア世代ともなると、ぜんそくにかかっているかどうかにかかわらず、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を患う人が増えてきています。当クリニックでも、ぜんそくの治療と並行して、高血圧や糖尿病の治療を行っている患者がたくさんいます。