2018年1月16日
ポルト観光(67)第4章 滞在2日目 §2 ドン・ルイス一世橋とカフェ・グアラニー 影山喜一
サン・ベント駅アズレージョ
ほどなく案内された。スタッフの通る風圧でパーカーの帽子が舞う。
表の看板がイタリアもどきの色使いをしているだけで、料理やスタッフの動きはポルトガル以外の何物でもない。ビールと野菜スープをとりあえず注文した後、考えた末に焼いたイワシとトリッパ(モツ煮込み)を頼む。トリッパがポルト名物になったのには涙ぐましい逸話がある。大航海時代にポルト在住の人たちが、乗船する勇者たちの食料として大量の肉を提供し、自分たちはひたすら内臓で我慢したというのである。その臭みが多く傷みやすい内臓を少しでも美味しく長持ちさせるための工夫の結果がトリッパに他ならない。誠に誰しも胸を打って止まない昔話といえるが、それにもまして素朴で味わい深い田舎料理である。そのままでは口の中が濃厚なタレで粘って仕方がない。慌てて赤ワインの小ビン1つを追加注文する。