2018年1月17日
肺気腫、息切れ症候群、逆流性食道炎……合併症で死に至る「ぜんそく」の恐怖-18 佐野靖之 「隠れぜんそく」-01章 発売元 株式会社 幻冬舎より
ぜんそくや咳ぜんそくは抗生物質、咳止めでは治らない
長引く咳が抗生物質で治ると思い、ずっと飲み続けている人が多くいます。
抗生物質は、ウイルス感染後の細菌を殺したり、増殖を防ぐ効果があるものです。風邪やインフルエンザ、肺炎などのウイルスや細菌に感染することで引き起こされる病気は、原因となるウイルス感染後の細菌をやっつければ治るので抗生物質が効くわけです。しかし、それらとは病気の原因がまったく異なる、慢性のアレルギー性疾患であるぜんそくには無用の薬です(ただし、合併症の肺炎や気管支炎には効果的、さらにマクロライド少量長期療法は、分泌の多い後鼻漏やブロンコレアなどで、吸入ステロイド剤と一緒に使うことで改善の方向に導きます)。
また、咳が出るからと市販の咳止め薬や病院で処方された鎮咳剤(ちんがいざい:咳止め薬)を飲む人も多いのですが、これも抗生物質と同様、症状は改善されないままというケースも多く見られます。咳止め薬を飲むと咳が治まるという人も少しはいますが、その効果は一時的なもので、薬を飲んでも数時間後にはまたゴホゴホと咳き込むことになるのがオチです。根本的な病因であるぜんそくの改善を図っていないため、いつまで経っても咳の症状が消えることはありません。鎮咳剤の一種で、咳中枢に働きかける「中枢性鎮咳剤(麻薬性)」によってぜんそくが悪化したケースも報告されていますので、使用には注意が必要です。