2018年1月18日
ポルト観光(69)第4章 滞在2日目 §2 ドン・ルイス一世橋とカフェ・グアラニー 影山喜一
サン・ベント駅アズレージョ
外部で味わったいささか物足りない印象とは裏腹に、内部は広々として50名程度が着席できそうである。奥の隅には白いグランドピアノが控える。左側一面に描かれた未開の人びとや風俗を描いたカルラ・モライスの絵が、腹の底から突き上げるような強烈なインパクトを与える。入店前に抱いた失望感は、たちまち消え去った。ゴーギャンよりも装飾的に描かれた人物が、南米の原住民グアラニー族に他ならない。1933年、建築家のゴゲリオ・デ・アセベードがグアラニー族の生態をこの内装に取り入れた。というのも、ポルトの女性とグアラニー出身のブラジル軍将校との恋を主題とする小説『レ・グアラニー』やそれを翻案したオペラ『イル・グアラニー』は、すでに19世紀後半のヨーロッパ全土で高い人気を博していた。爛熟した既成文化に飽きた人びとを魅了したのであろう。