2018年1月31日
ポルト観光(77)第5章 さらばポルト §1 ボリャオン市場と再びマジェスティック・カフェ 影山喜一
ポリャオン市場
レ・ドゥ・マゴやカフェ・ドゥ・ラ・ペのようにパリでは現在も新旧合作を売りにするカフェが存在する。それらに劣らない内容の備わるものをポルトでいくつか発見できるのは驚きである。トリノでも初代イタリア首相カブールの座った椅子がアル・ビチェリンの隅に飾ってあった。何故に彼が部屋の隅にいたかというと警察の目を逃れるため、いつも外を覗きながらチョコレートを舐めていたと聞かされた。いずれにせよ、ポルトガルやフランスやイタリアにおけるカフェは、単なる御休み処や逢引きスポットに留まらず革命戦略の討議や商業提携の交渉の場に他ならなかった。口角泡を飛ばす論戦や執拗な駆け引きで閉店時間を越えることも日常茶飯事であったかもしれない。昨今の如く客単価とか回転率を優先する経営など論外である。