2018年2月6日
ポルト観光(81)第5章 さらばポルト §2 空路でマドリッドへ 影山喜一
学生であろうか若い男女の乗客が目立つ。しかし日本の場合、同じような状況で度々遭遇するバカ騒ぎはまったくない。表情をじっくり観察して会話しているのが初めてわかる静寂ぶりである。ちょっとでも顔をそむければほとんど聞こえない。荷物を横に置いて二人分の座席でふんぞり返る類の輩も皆無である。誰一人途中で降りる気配は示さない。全員空港を目指すのであろう。家を離れて飛行機に乗りどこかのリゾート地に出掛けるのか、あるいはポルト観光を終えて次の観光地に行くか家に帰るのか。あまり多くはないとはいえ地元民らしき風体の顔もいくらかないではない。当然ながら彼らは、終点まで行かないで降りる。私がこの車両の客になって以降、乗り降りのあった駅は、国際バスターミナルの存在するカーサ・ダ・ムシカのみである。