2018年3月1日
ポルト観光(94)第6章 帰国へ §1 マドリッド⇒ヘルシンキ空港 影山喜一
いずれにせよ、私にとってフィンランドはとてつもなく遠い。初めて国名を知ったのがオリンピックの開催地としてであった。マラソンの金メダリストとなったザトペックの苦痛に歪む顔とともにヘルシンキを首都とするフィンランドの名が強く小学生の脳裏に刻み込まれた。次の機会は、先生が「音楽は国を造れるんだ」という解説付きでシベリウスの交響詩『フィンランディア』のレコードをかけてくれた中学二年生の授業である。突然、教室一杯に響き渡る金管楽器の轟音が身体の芯を激しく揺さぶった。ずっと下って次は、テレビのアニメ「ムーミン」を通して好奇心に火が付いた。主人公のムーミン一家は牧歌的な様子と、スナフキンとミーという脇役が気に入った。トーベ・ヤンソンの作品は、機会あるごとに楽しんでいる。