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2018年3月16日

ポルト観光(105)エピローグ 影山喜一

 ふとアメリカの女流作家アン・タイラーの『アクシデンタル・ツーリスト』を連想する。同書は、映画化されて日本では『偶然の旅行者』のタイトルで上映、アカデミー賞の4部門でノミネート、助演女優賞を獲得した。ここでアクシデンタルとか偶然という形容詞が付くのは、出張とか帰郷といった本来の用向きのついでにちょっと立ち寄る小旅行を意味する。主人公は、この種の旅を行う人向けのガイドブックのライターである。彼は、自分の執筆する記事の読者とそっくりの行動を人生で実践する。つまり確固たる目的を目指して働き遊び生活せず、その場限りの行き当たりばったりの生き方をする。結論としては、そういった優柔不断男がユニークな女性と出会って真っ当になる。けれども、私はタイラーと違って大部分の人間がアクシデンタルのまま終わると考える。



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