2018年3月19日
ポルト観光(106)エピローグ 影山喜一
人生で自分にうってつけのテーマと出会えるのは幸運である。その出会いにしてからが偶然ではないのか。それ以上に魅力的なものを初めの段階で見なかったのもよかった。未確立な時期であれば目移りして方向転換するかもしれない。そもそも自分を確実に掴めていないとしたら、どちらを選ぼうとなんでもありうるであろう。一見、当時は寄り道と考えられていた試行錯誤が、後に本人の糧ないし財産とみなされる話もよく聞く。私としては脱線だらけの人生の方がずっと魅力的である。“生涯現役”とか“仕事一筋”と耳にすると背筋が寒くなる。それを良しとする日本が心底好きになれない。対照的に上っ面な印象かもしれないがヨーロッパを訪れると、多彩な生き方をうまくシンクロナイズさせる人たちに同感する。そして、ある意味で旅も、人生と似ているように思う。