2018年4月18日
止まらない咳、軽い息切れが重病のサイン 医師も見逃してしまう「隠れぜんそく」が激増-59 佐野靖之 「隠れぜんそく」-02章 発売元 株式会社 幻冬舎より
重症度を見極めづらいのがぜんそく治療の恐ろしさ
ついでにもう一つ、医者泣かせの患者を紹介したいと思います。それは、「処方された薬の中から好きなものだけしか使わない」という患者です。こうした患者が非常に大勢いるので、ほとほと参ってしまいます。
ぜんそくの患者には通常、起きた発作を抑えるための発作治療薬(リリーバー)と、発作を起こさないようにするための長期管理薬(コントローラー)の両方が処方されます。発作治療薬(リリーバー)には、即効性があります。使えばすぐに発作が治まるので、患者は「この薬は効く!この薬はいい!」と高く評価します。対して、発作が起こらないようにするための長期管理薬(コントローラー)には、そのような速効性はありません。慢性的な気道の炎症を鎮めるために、長く、ゆっくり、じっくり確実に効いていくよう設計されているからです。その効果はリリーバーに比べて実感しづらいため、「こっちの薬は効いてない」と低く評価してしまいます。そしてなぜか、「あまり効果を感じない薬だから、やめてもいいだろう」と勝手に捨て置いてしまうのです。しかし、この薬を使わなければ気道の炎症はいつまでも鎮まりません。薬をやめれば炎症を放置していることになるため、余計に悪化してしまいます。