2018年4月24日
現代人がぜんそくになる原因とメ力ニズム-02 佐野靖之 「隠れぜんそく」-03章 発売元 株式会社 幻冬舎より
ぜんそくを理解するために知っておくべき、「気道」のメカニズム
鼻や口から吸い込まれた空気は、鼻腔や口腔、咽頭、喉頭を通って気管へと流れていきます。そして、気管から気管支を経て、左右の肺のすみずみに広がる肺胞へと運ばれていきます。肺胞では、酸素が血液中に取り込まれ、不要な二酸化炭素が排出されるなどのガス交換が行われます。
気管と気管支は、外側を平滑筋という筋肉が取り巻き、その内側に粘膜があり、さらに粘膜の内側、空気が触れる面では線毛が無数に生えている上皮細胞で覆われています。上皮細胞は、異物やゴミを排除するために線毛を咽頭に向けて波立たせる線毛運動を行って、気道の粘液を1分間に3~10㎜ほど移動させています。気道の粘膜から分泌された粘液に空気中の微粒子や炎症の起きている部位から剥がれ落ちた上皮細胞、白血球などが混じったものが、痰と呼ぼれるものです。気道に炎症が起きて気道内の粘膜の分泌が増えると、痰の量も増加します。また、気道内にたまった分泌物などを排出する動きが咳となります。気道のこれらの機能は、空気中にまぎれ込んだ異物や食物などが肺に入り込むのを防ぐ役割をしています。
以上が気道の基本的な構造とメカニズムとなりますが、気道に炎症が起こっていたり過敏性が増した状態になっていると、気管が狭くなって空気がスムーズに入っていけなくなるために息苦しくなったり、空気が通る刺激に影響されて咳が出るなどのさまざまな症状が表れます。