2018年5月8日
現代人がぜんそくになる原因とメ力ニズム-08 佐野靖之 「隠れぜんそく」-03章 発売元 株式会社 幻冬舎より
なぜ、人はぜんそくになるのか
アトピー型ぜんそくでは、ダニやハウスダスト、花粉などの抗原が気道に侵入すると、まず、マクロファージと呼ばれる細胞が抗原を取り込んで食べてしまいます。マクロファージは食べた抗原の情報を白血球内にあるヘルパーT細胞へと伝えます。抗原が侵入したという情報を受けたヘルパーT細胞は、情報伝達物質の一つであるインターロイキンー4(IL-4)を分泌し、白血球の一種であるBリンパ球にIgE抗体を作るよう指示します。IgE抗体とは、免疫グロブリンというたんぱく質の一種で、アレルゲンを攻撃するための抗原特異的な抗体のことです。ヘルパーT細胞から指示を受けたBリンパ球がこのIgE抗体を過剰に作り出し、粘膜の組織などに存在する肥満細胞と結合します。IgE抗体は肥満細胞と結び付きやすいという特性があるのですが、肥満細胞に大量に付着した抗原特異的なIgE抗体がさらに抗原と結合して二つのIgE抗体の間で橋を作り、この架橋が形成されると抗原抗体反応が起こります。肥満細胞はこの抗原抗体反応に刺激され、ヒスタミンやロイコトリエン、好酸球遊走因子、好中球遊走因子などの種々の化学伝達物質を放出します。そして、これらの化学伝達物質に刺激されることによって、ぜんそくの発作が起こります。