2018年6月8日
甲風会 二〇一七年十二月度「草木」四月号 詠草 桐村欅軒
1. 台北の問屋街生みし淡水の川底上がり舟運絶えぬ
2. 姿よき観音山を河は廻り西に開けば落日の海
3. 山上の日月潭に霧立ちて遊覧船の交差危ふし
4. 渡り来し大き岬の玄光寺三蔵法師の遺骨を祀る
5. 湖の霧益々深く運航を止めし船影桟橋に絶ゆ
6. マラリヤの嘉南平野を穀倉に変えし誉の烏山頭ダム
7. 一帯は設計工事の名指揮者八田與一の記念公園
8. 見晴るかす八田與一の像の下熱き説明聞くツアー客
9. 湖と平野を望み午後の陽に高き堰堤歩き尽せり
10. 與一亡き終戦に妻身を投げし給水口の轟き止まず