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2018年7月31日

かがし(案山子)-1 保田与重郎

 ずゐぶんの以前に蕪村の俳句として、「人に似よと老の作れるかゝしかな」といふ句をおぼえた。当時は、頴原退蔵先生の全集と称するものがあつて、それに芥川龍之介が序文を書いてゐたとおぼえてゐる。しかしこの俳句を、その本でおぼえたのかどうか、大正末期のことゆゑ、私はもつと簡単な本で知つたにちがひない。
 私はこの俳句を蕪村のものだと正確におぼえてゐるといふ自信はない。老いた農夫が、自分に似せた老いかがしを作つてゐるといふやうな記憶もある。これを今たしかめるのはわけもないことだが、わけもないことを、ことさらするもわけもないことと思って了つてゐるのである。
 しかしこの句の意味は、私にはなかなかわかり難いのである。といふことは、いく通りにも解釈できて、しかもその一つ一つがそれぞれに面白いからである。「人に似せて」を「老いに似せて」の意味にとり、老いた農夫が、自分に似せたかがしを作ってゐるといふ解釈をする、また次に、かがしは何も人に似せるものでない、さういふ常識の上で、人に似せたかがしを作ってゐる老農夫のわびしくあはれさを考へることも出来る。さらに別には、これをそのまま極めてゆうもらすに解釈することも出来る。その他数例たちどころに出来る。



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