2018年9月5日
未来の医療への回転扉(6)<AI診療は、未来の医者の競争相手か?> 後藤眞
しかし、おそらく、主治医など不要になるでしょう。と、恐怖の悪夢ですが、ここで、忘れてならないのは、AIといえども、その教育係は、人間であり、人間が作り上げたアルゴリズムにしたがって(その教育係もAIに取って代わられるかもしれない!)、人間が蓄積した過去の遺産を正しい情報として教えられるわけです。それを無数の基礎知識として蓄積解析し、解決策を見つけ出してくれるわけです。当然、いかなる過去の試練を経ていようと、また、AIが独自にそれまで蓄積された情報の正誤を自習し、補正したとしても、すべてが正解という保証はありません。また、本質的に環境によって変化するファクターも少なくないでしょう。
また、つい最近では、これまで世界中の化学の教科書に書かれていた基礎的な化学反応の間違いが、見つかりました。それは、20世紀初頭に発見された芳香族求核置換反応のうち、一般的にはあまり馴染みがないジャクソン・マイゼンハイマー錯体という中間体が生成されるといわれる反応です。なんと、そうした中間体の生成はないのだと否定されたのです。
さらに、AIは、ハッカーによって、比較的簡単に情報を操作されてしまうことも判明しています。
と、このように、限界や問題点は、結構あり、気の早い評論家の中には、「ビッグデータの終焉」とか、「フェイク・ラーニング」などと、宣う方も出てきました。