2018年9月12日
ぷろむなあど(2)岩佐東一郎
今日も、仕事をしようと思って机上に原稿用紙をひろげたものの、さわやかな秋の日ざしを見ると、じっとしていられず、そのまま仕事を放って午後の散歩に出た。
まず、近所のタバコ屋で「ハイライト」を求め、澄んだ秋空を見上げたり、小学校の校庭にくりひろげられる運動会を眺めたりして、いつか国鉄駅まで歩いてくると、なんとなく十円区間の切符を買った。
次の駅まで乗ったが、別に用もないから、ふらりと駅前に出る。と、公会堂の立て看板が目についた。それには「日本民謡大会」と大きく書いてある。そのわきに「入場観迎」とも記してあった。この「観迎」はもとより「歓迎」のまちがいだが、ユーモア的文字だ。
そこで、受付でプログラムを貰って入場する。舞台の上では、いまや次々と民謡の数々が唄われているところだった。空席に腰を下ろして、しばし楽しむことにした。