2018年9月18日
ぷろむなあど(5)岩佐東一郎
秋の日も、いつか暮れていた。肌寒いひぐれだった。夜空には冴えた月。街にはとりどりのネオンが光っていた。と、一ぱいやりたくなったぼくは、もとの駅へ戻って、なじみの酒場のドアをあけた。もう、中に、知り合いの呑み仲間が二三人いて、「もう来るころだとうわさしてたところでしたよ。さ、ま、かけつけ一ぱいどうぞ」とばかり、盃をさしてくれるから、うれしく受けてしまった。
「ぼくにもお酒」と燗をつけさして、「では、ご返盃」となる。秋から冬にかけての日本酒ぐらい、心暖まるものはない。とろりとろりと酔いながら、さっきの「日本民謡大会」の話をはじめると、それからそれと呑み仲間もリレーして話がはずんでしまう。どうやら今夜もまた、夜更けまで呑みそうだ。とんだ「ぷろむなあど」だが、これまた楽しい。