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2018年9月25日

朔太郎の庭見物(4) 桑原武夫

 「この庭は、まずカタをつくるのが大変だったでしょうな。むつかしかったでしょうね。」
 住職はどう答えたものか、若干の躊躇と恐縮をこめて、
 「相阿弥がこれを作りますさいに、この枯山水の形式をどこから学びましたか、そして、その伝統形式にどれだけ相阿弥自身の創意と申しますか工夫を加えましたか、その辺のところは、まことにお恥しいが、私どもにはよくわかっておりませんのです。苦心をいたしましたことは、もちろんでございますけれど……」
 「いや、伝統とか形式とかじゃありません。これをこしらえるために、こう流し込むカタをまず作る……」
 住職はまったく話がわからなくなってポカンとしている。私はいそいでいった。
 「先生、これは、あちこちから適当な石を集めてきましてね、それを組み合せ、組みたてるのです。カタなどというものはいりません。」
 萩原さんは、この石組みはコンクリートのようなものをカタを使って固めて作ったものと思ったのである。そんなバカなことと私も今これを書きながら思う。しかし、カタといったとき、彼は木で複雑なカタをつくることを考えていたことに間違いない。
 「桑原君、もう帰ろう。」



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