2018年10月22日
うらぶれ日記抄(2) 板倉靹音
白 鮠
いつ帰ってみても
誰もいない家
炭火をおこして白脆をやく
勝手口の空が暮れる
いずれは
おれも母のところへ行くだろう
母はきっとたずねるだろう
――その後どうしていたかえ」
――子供たちはみんな
大きくなって散っていき
日のかげった川ばたで
ぼくは浮子ばかり眺めて暮しました」
どうやらおれの一生も
そんなようなことであるらしい