2018年10月25日
捨てる(2) 佐藤東洋麿(横浜市)
日本ラグビー狂会編『頭で見るラグビ-』(文春文庫)待てよ、これはラグビーだからあの梅本洋一さんが書いてるな。あったあった、ラグビーに狂う会十一人の執筆者のうち九番目に、1人ひとりの技術が進歩しても地下茎のように見えない繋がりで猛烈に走らないと、日本のラグビーに未来はない、と自説を述べている。
私とは何から何まで真逆な人で、凡庸でなく非凡、うっかりでなく水も漏らさず、すぐ忘れるでなくもの覚え抜群、語学べたでなくフランス人映画監督との会話を聴いていると(当時のNHKラジオ「まいにちフランス語応用編」)彼の声を知らないリスナーには、どちらがフランス人か分からない。低く深く澄んだ声だった。そしてその放送の録音が済んで打ち上げの飲み会のあと、二次会のカラオケ中に急性の心不全で死んだ。六十歳を僅かに過ぎていた。