2018年11月5日
切抜の整理(1) 尾崎一雄
現在私のところでは五種類の新聞(うち一種はスポーツ紙)をとってゐる。そのほかに、何種かの小新聞が送られてくるので、古新聞の溜り方の速いこと、ひと通りではない。
新聞の数が多いと、どうしても読み方が雑になる。ひどいときは、自分の書いたものの出てゐるのに気がつかなかったりすることさえある。
それでも、大体は頁をめくり、題名ぐらゐは見る。題名だけ見れば見当のつく記事が多いから、新聞読みにそれほど時問をとられるわけでもない。
さういふ雑な読み方をしてゐても、ときどき切抜いておきたい記事にぶつかる。さう頻繁にあるわけではないが、長い間には結構溜るもので、私はその整理をしようかと考へてゐる。何しろ工合悪いことには、それらの切抜が、ただ雑然と何個所かに積み重ねてあるだけで、分類がされてゐない。自分の書いたもの、自分に関した記事、感心した文章、ショッキングな記事、その他いろいろに分けられる。扱はれた問題の種別にも分けられるだらう。初めからさういふ区分をして、スクラップブックに貼り込んで行く、といふ方法をとってゐたら、今頃面倒な手間をかける必要はなかっただらうに、と思ってみてもあとの祭りである。面倒だから全部捨てて了ふか、と疳癪を起こしてみたが、しかし、自分の書いたものも交ってゐるのだから、その勇気も出ない。