2018年11月6日
切抜の整理(2) 尾崎一雄
実は近年、何でも彼でも整理したい気持が強まって、納まりがつかぬのである。結局は頭の中の整理がめあてなのだが、そこへ行くまでに、身の廻りを先づ整理したいと思ってしまふ。これは私の悪癖で、仕事を始める前には、必らず書斎を片づける。さうしないと、原稿紙に向ふ気にならないのだ。
以前からのさういふ悪癖から推論すると、現在、何でも彼でも整理したがってゐる、といふことは、やがて大仕事にとりかかる前ぶれなのかも知れない、などと希望的観測もするが、一方、先の長くない知らせかも判らないぞ、と思ってもみたりする。
ところで、今日、手近に積んである一と山を引寄せて、上から順々に見ていったら、切抜いたまま未読のものが結構あることに気づいた。あとでゆっくり読まう、などと忙がしまぎれに切抜いておくと、大体はそれなりになって了ふらしい。さういふのは、連載もの(と云っても小説ではない)に多い。終りの方を読まずじまひにしてあるのが二つ三つ出てきた。