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2018年11月13日

当麻寺(2) 藤枝静男

 夕暮近く当麻寺へついた。境内の物売り店はもうしまっていて人影はほとんどなく、右手の塔頭の小さい門の中の牡丹園では若い寺男が鋏をもってしきりに花の手入れをしていた。花のおおかたは盛りを過ぎて崩れ、ただ一本の大輪の白牡丹だけが、高く抜け出て、暮れはじめたせまい庭の空気を静かに呼吸するように、しっかりと開いていた。ちかづいてのぞきこむと、花芯のあたりが、光線の加減か何かで僅かな赤味を帯びているように見えた。情景は多分ちがうのであろうが、自然に「白牡丹というといえども紅ほのか」という虚子の旬が頭に浮かんだ。
 われわれは参道をへだてた左手の本坊の玄関からあがりこみ、そこの広間から改めて庭一面にひろがる名物の牡丹を眺めまわしたが、やはり衰えかけた花園は見物にならなかった。庭隅に盛りあがった馬酔木の花、藤棚の白藤の短い房、そのうしろに迫る新緑の山の方に、より多く眼が行った。



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