2018年11月16日
長期にわたる治療期間 病と上手に付き合ってQOLを向上させる-09 佐野靖之 「隠れぜんそく」-06章 発売元 株式会社 幻冬舎より
覚えておきたい腹式呼吸法
適度な運動ともう一つ、ぜんそく患者にぜひ覚えてほしいエクササイズがあります。それは腹式呼吸です。
ぜんそくの発作が起こると、必死に呼吸をしようとしてもなかなか息苦しさから逃れられません。私たちは普段、無意識に胸の呼吸筋で肋骨を動かし、肺を収縮させたり拡張させたりして呼吸をする胸式呼吸を行っています。気管支が狭くなって、痰なども出る発作時には、肺に空気が入りにくい状態になるため、胸式呼吸では急激な息苦しさを解消することができないのです。そんなとき、意識的に腹式呼吸を行うと、呼吸は非常に楽になります。腹式呼吸では、腹部に息を吸い込むことで、腹圧が上がって横隔膜が上がります。同時に横隔膜により肺が押し上げられて、口をすぼめた圧力で狭くなった気道を拡げて肺の空気が押し出され、気管支に空気が自然に入ってくるのです。本書を読んでいるのが家族の方なら、患者に発作が起きた際、「お腹で息をして」と言って落ち着かせてください。日頃から腹式呼吸の練習をしていたら「いつもの腹式呼吸をイチ、ニ、イチ、ニ」と呼び掛けるだけで、非常に効果的です。では、腹式呼吸の練習をしてみましょう。