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2018年11月20日

長期にわたる治療期間 病と上手に付き合ってQOLを向上させる-11 佐野靖之 「隠れぜんそく」-06章 発売元 株式会社 幻冬舎より

周囲の人の協力を得る勇気を持つ

 ぜんそく患者のQOLに大切なことは、周りの人々の理解です。家族や職場の人、学校の教師など、患者を取り巻く人間関係は多岐にわたりますが、そのすべての人々とはいわないまでも、多くの人々に、ぜんそくという病気を理解してもらうことが必要です。
 なぜなら、ぜんそくは薬でコントロールできていれば、健常者と同じように過ごせるためです。だからこそ普通の生活をできるわけですが、逆に健常者と同じように多少の無理が利く、と勘違いされてしまうマイナス点もあります。無理をして病気を悪化させてしまう悪循環に陥ることもあるのです。多少の無理をしても「点滴を打ってどうにか乗り切ろう」と思ってしまうことはありませんか?それは非常に危険な考えです。私のクリニックに来る患者の多くがそうであるように、ぜんそくが悪化する最大の要因は過労です。過労にそのほかの要因が加わることで、発作を起こしやすくなったり、重症化したりします。職場環境によっては言いにくい場合もあると思いますが、信頼のできる上司や同僚だけにでも、正しい病状を知ってもらうこと。過労で発作を起こし、重症化することでかえって仕事上の迷惑をかけることを考えれば、事前の報告は社会人としても義務ともいえます。

 同様に医師との関係も信頼あるものにしましょう。ぜんそくに完治がないということは、ぜんそくが生涯仲良く付き合っていく病気ということです。つまり主治医とは長い付き合いが始まっています。ぜんそくが自己コントロールを要する病気ということもありますが、医師だけに任せるのではなく、共に寛解を目指すパートナーとして詳しく丁寧な情報を交換してください。どんな小さなことでも不安なことはそのつど質問をして、解決することが大事です。もちろん、医師の指示には従うことは基本中の基本です。

 そしてなにより重要なのは、家族の理解です。患者は家族に丁寧に病状を話し(場合によっては、家族が患者とともに医師の話を聞いてもいいでしょう)、日常生活でのフォローを徹底します。家族は、患者が無理をしないように注意し、毎日の吸入を徹底させます。なにより、ぜんそく患者にとっては症状が安定して調子がいいときが大事です。症状が安定していれば普通の生活をして問題はありませんが、調子がいいからと治療を怠らずに、吸入を日常生活に組み込み、無理のない生活の手助けをしてください。



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