2018年11月21日
日記から見た伊東静雄(4) 小高根二郎
試みに津田家からの贈与を抄出してみる。
昭和一八年八月~一二月
*五〇円 *滋養糖、ビール *牛肉 *一五〇円(詩集出版祝)
昭和一九年二月~六月
*蓮根三節 *熊の肉 *一〇〇円 *切乾大根 *鯖、海苔
伊東は日記をきまぐれにしかつけていない。そのきまぐれな断続的な年月から、このくらい拾えるのだから、実際は大変なものであったに相違ない。特に昭和一八・一九年で少なからぬ金品を受領しているが、当時の月給は一三〇円、一四〇円であったから、いかに同情的に見ようと過分な贈与といわなくてはなるまい。特に詩集『春のいそぎ』祝の一五〇円は、同集が受賞した透谷賞以上の金額ではなかったかと想われる。